■ bookart

photo by Shun Takano

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「機をみるに、本」出品作品 OTAブックアート武蔵小山アトリエにて ●2024年9月22日ー29日
– Title –
『つながるいのち うけつぐことば』
– Theme –
有機/無機
– Concept –
わたしは一個人でありながら、その遺伝子は連綿とつながっている。動物や植物も営々といのちをつないできた。わたしが「有機」から連想したことは、「自然」「循環」「継承」、さらには「生成・消滅の繰り返し」だった。それを表現したいと思い、読み語り継がれる「書物」と「いのちをつなぐタネ/実」を結びつけた。
海流によってはるか遠方にたどり着くヤシの実をモチーフに、旅する物語の本をイメージ。ヤシの実は、内側の厚い繊維層が海流散布に重要な役割を果たすことから、繊維を意識した造本にした。
– Process –
「継承されるタネの本」をつくるにあたり、細かく裂いた本のページや紙片にタネを混ぜ込んでシードペーパーを作ってみたり、ちぎった文庫本にタネを混ぜてひと塊の本にしてみたり。伝承や消滅した文字について考えたり……。試行錯誤を繰り返すも軸が定まらず苦心するなか、実/タネとしては最大級かつ長距離を旅するヤシの実と、国や言語、時代を超えて受け継がれる書物を切り口に考え直す。
テキストには18cから語り継がれてきた『マザーグース』を想定していた。が、特定の書物からテキストを選び出すことの意味づけができず、さまざまな言語で紡がれた物語のイメージを手縫いのステッチによって抽象的に表現することにした。
ページに用いたのは、製本では補強用に使用される寒冷紗。ヤシの実を特徴づける要素である繊維のイメージから採用したが、寒冷紗の白さと糊付けによる張りが気になり、柿渋で染めてみた。やわらかい風合いが出たことにより、風や波に乗って種子散布されるさま、時間の流れや伝播などが感じられるようになったと思う。
いよいよ最終段階に入って、ページ中央に文字を判読できるオリジナルの詩をガリ版で刷って挿入。さらに栞紐の先にタネを仕込み、「うけつがれつながる」ことを目に見えるかたちに落とし込んだ。
じつは「土に埋めると変化する本」という裏コンセプト(!?)もあり。土中の微生物により素材が自然に還り文字が消えるころ、タチアオイ(古来は薬草として用いられ、ヨーロッパからアジアに分布。花言葉は豊かな実り)が姿を現す、かも。


– 奥付 –
●わたしのしごと / コンセプトと構成・デザイン・イラスト・詩・ステッチ・造本のほか、寒冷紗や紙など一部使用素材の柿渋染め
●つかったそざい / タイのサーペーパー(カバー表)、楮染紙柿渋仕上げ(カバー裏・表紙)、柿渋染紙(表紙裏)、竹のコハゼ、能登の杉皮紙(見返し)、ネパールの綿メッシュ漉き込み紙(詩を印刷した紙)、綿寒冷紗、絹糸、麻糸
●もじのあしらい / タイトル文字は手描き、詩はガリ版印刷、奥付はデジタル印刷
●しこまれたたね / タチアオイ(ホリホック ロゼアホワイト)のタネ
OTAブックラボ 二○二三シーズンテーマ 「有機/無機」作品
制作 一部
二○二四年 東京